
お疲れ様です。ワキログです。
最近、「仕組み化」という言葉を本当によく耳にします。
業務を効率化したい、属人化をなくしたい、AIで自動化したい。
どれも大切なことですが、僕はずっと、ある違和感を持っていました。
それは、「最初から効率を考えてつくった仕組みは、なかなか本物にならない」ということです。
今回は、仕組み化についての僕の考え方を、実際の経験も交えながらお話しします。
先に結論をお伝えします。
本物の仕組みは、「努力臭いこと」をやり切った、その組み合わせの先に生まれる。
「仕組み化」と聞くと、楽をするためのもの、手間を減らすためのもの、というイメージがあるかもしれません。
もちろん、仕組みができあがれば、仕事はぐっと楽になります。
でも、その仕組みをつくるまでの道のりは、決して楽ではありません。
むしろ、泥臭くて、面倒で、複雑なことを、一つひとつ自分の手でやり切った人にしか、本当に品質の高い仕組みはつくれないと僕は思っています。
振り返ると、僕の仕事や学びは、いつも泥臭いところから始まっていました。
資格の勉強は独学でしたし、転職のときは、応募先の会社のことを徹底的に調べ上げました。
どれも効率的とは言えないやり方でしたが、その積み重ねが、今の自分の土台になっています。
「うちも仕組み化を進めたい」と考えている経営者の方、効率化を任されている社員さんに、ぜひ読んでいただきたい内容です。
少し長くなりますが、お付き合いください。
「最初から効率化」は、なぜうまくいかないのか

まずは、よくある場面から考えてみます。

新しい業務を任されたので、最初から効率のいいやり方を考えて、マニュアルもつくっておこうと思います!

その意気込みはいいね。でも、一度も自分でやったことがない仕事のマニュアルって、本当に使えると思う?
一度もやったことがない仕事を、最初から効率よく仕組み化しようとしても、うまくいきません。
なぜなら、その仕事の「本当に大事なところ」も「つまずきやすいところ」も、まだ何もわかっていないからです。
頭の中で考えた手順は、きれいに整理されているように見えます。
でも、実際の現場では、想定していなかった例外や、細かい判断が山ほど出てきます。
お客様ごとに違う要望、その日の状況で変わる優先順位、マニュアルには書けない「さじ加減」。
こうしたものは、実際に手を動かして、何度も失敗して、ようやく見えてくるものです。
失敗は、一見すると無駄な時間のように思えます。
でも、その失敗の一つひとつが、あとでつくる仕組みの「落とし穴を避けるためのルール」になっていくんです。
最初から効率を求めてつくった仕組みは、こうした例外に対応できません。
結果として、現場では「このマニュアル、使えないよね」と言われ、誰にも使われないまま終わってしまいます。
何を削っていいのかは、やってみないとわからない
効率化とは、言いかえれば「やらなくていいことを削る」ことです。
でも、どれを削っていいのか、どれは絶対に削ってはいけないのかは、実際にやってみないとわかりません。
大事な工程まで削ってしまうと、効率は上がっても、品質は大きく下がってしまいます。
効率化の前に必要なのは、非効率なことを、まず自分でやり切ることなんです。
品質は、細部の判断に宿る
仕組みの品質を決めるのは、全体の流れよりも、細かい判断のひとつひとつです。
例えば見積なら、ロスをどれくらい見込むか、どこまでを1つの単位として数えるか。
こうした細かい判断は、実際に何度も手を動かしてきた人にしか書けません。
細部の判断を知らない人がつくった仕組みは、見た目は整っていても、中身がすかすかになってしまうんです。

「立派なマニュアルをつくったのに、誰も見ていない」という話は、決して珍しくありません。マニュアルが使われない理由のひとつは、現場の実態とかみ合っていないことにあります。
やったことのない仕事は、仕組みにできない。
仕組みは「努力臭いこと」の組み合わせから生まれる

では、本物の仕組みは、どうやって生まれるのでしょうか。
僕の考えは、「努力臭いことを何度もくり返し、その組み合わせの先に、自然と仕組みが生まれる」というものです。
努力臭いこととは、例えばこんなことです。
- 一件一件、手作業で確認する
- 毎回ゼロから考えて、資料をつくる
- うまくいかなかった理由を、そのたびに振り返る
- 複雑で面倒な作業を、省略せずにやり切る
どれも、効率とは正反対に見えることばかりです。
でも、こうした努力臭いことを何度もくり返していると、あるとき気付くんです。
「この確認は、毎回同じポイントを見ているな」
「この資料は、いつも同じ順番でつくっているな」
「この失敗は、同じ原因で起きているな」
このパターンに気付いた瞬間が、仕組み化のスタート地点です。
①僕の「工務店経営の14ヶ条」も、泥臭さから生まれた
僕は、工務店さんの経営を診断するための「工務店経営の14ヶ条」という考え方をつくっています。
これは、最初から完成形として考えたものではありません。
たくさんの工務店さんの支援をさせていただく中で、「伸びている会社には、こういう共通点があるな」というポイントを、少しずつ言葉にしていったものです。
最初は12ヶ条でした。そこから支援を重ねる中で見直しを続け、今の14ヶ条になっています。
そして今では、この14ヶ条をもとに、診断のレポートをAIで作成できる仕組みにまでなりました。
一社一社と向き合ってきた泥臭い時間がなければ、この仕組みは絶対に生まれていません。
②議事録の仕組みも、「面倒くさい」から生まれた
僕は、打ち合わせを録音して議事録にしています。
以前は、録音の操作をして、データを探して、AIにアップロードして…という作業を、毎回自分の手で行っていました。
正直、この一つひとつが、本当に面倒でした。
でも、その「面倒くさい」を何度も味わったからこそ、どこを自動化すればいいのかがはっきりわかったんです。
今では、スマホで録音したデータを1タップで送るだけで、議事録づくりが進む仕組みをつくっています。
さらに、議事録の形も、読む人や目的に合わせて3種類に使い分けるようになりました。
面倒くささは、仕組み化すべき場所を教えてくれるサインでもあります。
③積算のマニュアル化も、同じ道のり
今、ある工務店さんと一緒に、積算業務のマニュアル化に取り組んでいます。
そこで大切にしているのは、ベテランの方が実際に行っている判断の理由を、一つずつ言葉にしていくことです。
机の上でマニュアルを書くのではなく、実際の作業の中から、判断の理由をすくい取っていく。
時間はかかりますが、そうしてできたマニュアルこそが、現場で本当に使えるものになります。

つまり、仕組みは「つくるもの」じゃなくて、「浮かび上がってくるもの」なんですね。

そう。努力の中から浮かび上がってきたパターンを、あとから形にするんだよ。
仕組みは、机の上でつくるものではなく、努力の中から浮かび上がってくるもの。
僕のブログづくりも、最初は泥臭かった

実は、この「ワキログ」の記事づくりも、まさにこの考え方でできあがってきました。
最近、ブログの記事づくりにAIを活用するようになりました。
記事の文章を書き、画像をつくり、WordPressに投稿して、SEOの設定まで行う。
今では、この一連の流れを「型」にして、何本もの記事を効率よくつくれるようになっています。
でも、最初からそうだったわけではありません。
最初の1本は、何度も何度もやり直しました。
- 吹き出しのキャラクターの表情と、役柄が合っていない
- 伝えたかった言葉の意味が、自分の意図とずれている
- 文章の量が足りない
- 太字だけ読んでも、内容が伝わらない
一つひとつ確認しては直し、また確認しては直す。
正直、かなり手間のかかる作業でした。
でも、この泥臭いやり直しの中で、「ワキログらしい記事とは何か」が、はっきりと言葉になっていったんです。
吹き出しの顔は、役柄と必ず合わせる。
文章はおよそ6,000字。
太字だけ拾い読みしても、話の流れがわかるようにする。
こうして言葉になったルールを、ひとつの「型」としてまとめたことで、ようやく記事づくりが仕組みになりました。
テーマの選び方、見出しの立て方、画像の雰囲気、吹き出しの使い方。
1本目で確認した一つひとつのポイントが、今の型の「ひとつのルール」になっています。
そして型ができたあとは、テーマを決めるだけで、同じ品質の記事を何本もまとめてつくれるようになりました。

最初の1本で手を抜いていたら、今の型はできていなかったと思います。あの泥臭いやり直しがあったからこそ、2本目以降は、同じ品質を保ったまま、ぐっと早くつくれるようになりました。
最初の1本に時間をかけることは、遠回りに見えて、実は一番の近道なんです。
1本目は「型をつくるための1本」
こう考えると、1本目の記事は、ただの1本ではありません。
2本目以降のすべての記事の品質を決める、「型をつくるための1本」なんです。
だからこそ、1本目こそ、一番時間をかけて、一番丁寧につくる価値があります。
最初の1本を泥臭くやり切った人だけが、2本目から速くなれる。
努力臭いことを「仕組み」に変える3つのステップ

では、努力臭いことを、どうやって仕組みに変えていけばいいのでしょうか。
僕は、次の3つのステップで考えています。
- まずは、自分の手でやり切る
- やりながら、気付いたことを記録する
- くり返し出てくるパターンを、言葉にして型にする
①まずは、自分の手でやり切る
最初は、効率を考えなくて大丈夫です。
むしろ、手間がかかっても、複雑でも、一度は自分の手で最後までやり切ることが大切です。
途中で「もっといいやり方があるはず」と思っても、まずは今のやり方でやり切ってみる。
やり切った人にしか見えない景色が、必ずあります。
②やりながら、気付いたことを記録する
やり切る中で、「ここでいつも迷う」「ここで時間がかかる」「ここでミスが起きやすい」と気付く瞬間があります。
その気付きを、その場でメモしておくことが大切です。
記憶は、驚くほど早く消えていきます。
記録しておかなければ、どれだけ努力しても、その経験は次に活かせません。
記録は、きれいにまとめる必要はありません。
スマホのメモに一行書くだけでも十分です。
大切なのは、「気付いた瞬間」を逃さないことです。
③くり返し出てくるパターンを、言葉にして型にする
記録がたまってくると、同じような気付きが何度も出てくることに気付きます。
そのくり返し出てくるパターンこそが、仕組みにすべきポイントです。
パターンを言葉にして、手順やチェックリスト、テンプレートといった「型」にしていく。
型にするときは、「なぜこの手順なのか」という理由も一緒に書き残しておくのがおすすめです。
理由がわかっていれば、状況が変わったときにも、型そのものを正しく直していくことができます。
そして、型ができて初めて、AIや道具を使った自動化が本当に効果を発揮します。
努力臭いことを経験していない状態で自動化しても、間違ったやり方を高速でくり返すだけになってしまうからです。
「複雑なこと」から逃げない
仕組み化というと、「複雑なことをシンプルにする」ことだと思われがちです。
もちろん、最終的にはシンプルな形を目指します。
でも、シンプルにできるのは、複雑さを一度すべて引き受けた人だけです。
複雑な部分から目をそらしてつくったシンプルな仕組みは、現場に出た瞬間に崩れてしまいます。
複雑なことをやり切った先にある「シンプル」だけが、本物のシンプルなんです。

AIを使えば、最初から仕組み化できると思っていました…

AIは、正しい型があって初めて力を発揮するんだよ。型をつくるのは、やっぱり人間の努力なんだ。
今日からできるセルフチェック
- 仕組み化しようとしている業務を、自分で最後までやり切ったことがあるか
- やりながら気付いたことを、記録しているか
- くり返し出てくるパターンを、言葉にできているか
ひとつでも「いいえ」があれば、まずはそこから始めてみてください。
まとめ:効率化の近道は、泥臭さの中にある

今回お伝えしたかったことは、この2つです。
- 本物の仕組みは、努力臭いことをやり切った、その組み合わせの先に生まれる
- 最初から効率を求めるのではなく、まずはやり切り、記録し、型にする
効率化は、ゴールではなく結果です。
努力臭いことを積み重ねた人だけが、その結果として、品質の高い仕組みを手にすることができます。
最初から楽をしようとすると、結局は品質の低い仕組みが残るだけです。
でも、最初に泥臭くやり切っておけば、その先には、誰がやっても同じ品質で回せる仕組みが待っています。
「急がば回れ」という言葉は、仕組み化にもそのまま当てはまります。
急いで仕組みをつくろうとするほど、あとで何度もつくり直すことになる。
遠回りに見えても、最初にしっかりやり切ったほうが、結果的にずっと早く、確かな仕組みにたどり着けるんです。
これは、仕事に限らず、スポーツや勉強でも同じです。
基本の動きを何度もくり返した人だけが、やがて無駄のない、美しい動きを身につけていきます。

最後に、ひとつだけ。
「効率化」や「仕組み化」という言葉は、とても魅力的に聞こえます。
でも、その言葉に惹かれて、最初の泥臭い一歩を飛ばしてしまうと、本当に大切なものを見落としてしまいます。
遠回りに見える努力こそが、実は一番確かな近道です。
今、目の前にある面倒で複雑な仕事は、未来の仕組みの種なのかもしれません。
その種を、まずは自分の手でしっかりと育ててみてください。
ワキログでした!


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