数字目標は必ずしも成果を最大化させない|重要なのは数字というツールの使い方

経営者の方へ
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仕事をしていると、数字はつきものです。

しかし、この数字は使い方を間違えると凶器にすらなります。

凶器にはならずとも、人の能力を上手く発揮させない蓋になってしまうことは往々にしてあります。

この、蓋を取ってあげるだけで成果を出す人がいるということも事実です。

そこで先日こんなツイートをしました。

これは実際にあったことで、全く同じことをしていても、数字を意識するのとしないのとでは成果に倍以上の差が生まれたのです。

ポイントは、【数字を意識しない方が】成果が倍になったということです。

一般的に、数字を意識した方が成果が出ると言われています。

しかし、それだけではないということを経験してしまったのです。

今回は、上記の実体験をもとに数字の使い方について考えていきたいと思います。

ではいきましょう!

この記事を読んで欲しい人

今回の記事は、どちらかというと新人というよりは管理職や社長様向けです。

下記に当てはまる方には是非読んでいただきたいと思って頑張って書きました

・部下や社員に数字のことばかり言い過ぎてモチベーションが下がっている気がする

・部下や社員が数字に対する危機感を感じていない

・何度も目標を伝えているのに覚えてすらいない

・目標達成してないのに言うことだけは一人前の社員にうんざりしている

こんな感じですね。

社長と社員ではそもそも見ている目線が違いますし、上司と部下の関係でも目標に対する意識の乖離があります。

そこにフラストレーションを抱える社長や上司の方は非常に多いと思います。

でも、逆に社員や部下にとっても不満が溜まっていることも多いです。

社員・部下
社員・部下

あの人いつも数字のことばっかり言ってるよな。そんなに数字好きなん?数字と結婚でもしたら?

こんなことを影で言われているとなれば、結構むかつきそうですが、そこは安心していただきたいです。

数字に厳しい上司や社長はほとんど言われてます。

住宅会社で起こった実際の話|目標をなくすと成果が倍増した

これは、住宅会社で実際に起こった話です。

大前提として住宅会社の仕事の流れがわかっていないと理解しづらいかもしれないので、簡単に記載しておきます。

超ざっくり記載するとこんな感じです

【営業職】初回接客から受注

⬇️

【設計職】受注したお客様の図面作成

⬇️

【工事職】作成された図面を実際に建てていく

本当はもっと細かいのですが、簡素化しています。


今回、事例として登場する会社様をA工務店とします。

A工務店は新卒の女性を2名採用しました。

もともと、その2名は【設計職】を希望していたのですが、A工務店の考え方として、良い設計をするにはお客様とのリアルな会話が必要というものがありました。

なので、最初からいきなり【設計職】に配属するのではなく、最初は【営業職】として初回接客〜受注までの流れを一通り経験した上で、設計に異動するということにしました。

設計に異動するタイミングとしては、【営業職】として3組のお客様から受注をいただいたら、ということにしました。

新卒の2名はそれに納得しましたし、僕としてもその考え自体は良い考えだと思います。

住宅会社の場合、初回接客〜受注までの間に、多くのことをお客様から直説聞きます。

お客様の家族事情・資金面の話・普段の生活スタイルとか、設計をする上で必要となってくるリアルな情報です。

ある程度経験を積んだ方であれば、営業から話を共有してもらい、お客様と少し話すだけでお客様の本質的な設計に対するニーズをつかむことができるのですが、最初はなかなかそうはいきません。

なので、営業を経験した設計の価値は高まります。

ということで、2名の女性は【営業職】としてA工務店で働くことになったのです。


【営業職】ということは、初回接客〜受注までの流れを一通り行うことになります。

通常、初回接客は営業のみが行うことが多いのですが、A工務店の場合、初回接客の件数が多かったため【設計職】も初回接客を対応することになっていました。

つまり、【営業職】【設計職】のどちらも初回接客を担当するということです。

そして、この初回接客は、接客の中でも非常に重要度の高い接客です。

ワキログ
ワキログ

普通に考えて、初めて行った住宅会社の担当者の印象が悪かったら、その会社の印象自体悪くなりますよね。

逆に、初めての担当者がよければ、『もっと話を聞きたい!』と思いますよね。

さらに、住宅のような大きな買い物は、即決で購入するということはまずありません。

お客様との打ち合わせを何度も繰り返して、様々な不明点を解決しながら契約になります。

逆にいうと、一度来てもらったら、また来てもらわなければ絶対に受注できないということです。

なので、住宅会社では初回接客から次の接客へどれだけ繋げられるか、そのアポ率が超絶重要になります。

当然、新卒の女性2名にもアポ率の目標を伝え、毎月のアポ率を計測していました。

もちろん、目標アポ率に達していなければ、なぜ達成できていないのかの反省とフィードバックを行いました。

ちなみに、目標アポ率は50%としていて、住宅会社としては妥当な数字です。

設計職の場合は、あくまでも補助的な役割で初回接客を行っていたので、明確なアポ率の目標とフィードバックを行っていませんでした。


【営業職】として仕事をしていた女性2名のうち、なかなか思うように成果が出せない方がいました。

アポ率でいうと、20%くらいしか取れていなかったのです。

アポ率が低い場合は、営業トークを練習したり、説明の順番を変えてみたり、いろんな対策をするのですが、それでもなかなか上がらなかったのです。

その対策をするために、営業会議を開いていると、その女性が急に泣き出し、このような発言をしました。

新卒女性
新卒女性

もともと設計がやりたくて入ったのに、営業で数字のことばかり言われて正直もう辛いです。設計の方たちはアポ率なんて言われてないのに、なんで私ばかり言われるんですか?

良い家を作りたくてこの会社に入ったのに、私は家づくりができないんですか?

うーむ、気持ちはわかるのですが・・・・。

入社当初は営業という仕事をよく理解しておらず、数字に追い込まれることがここまでしんどいとは思っていなかったのでしょうね。

ただ、このような意見を聞くと、甘いんじゃないかとか、それが社会人というものだという声も聞こえてきそうです。

しかし、

A工務店の社長は、結局、この方を【設計職】に異動してもらうことを決めました。

実際、異動と言っても【営業職】が減る分、【設計職】の初回接客の回数は増えるので、新卒の女性にとってはやることは変わりません。

今まで通り、普通に接客を行います。

変わるとすれば、形式的な組織図と本人の気持ちくらいでしょうか。

『私は営業ではなくて設計なんだ!』という気持ちになるということです。

ところが、これが大きな変化に繋がりました。


異動した翌月、新卒の女性のアポ率が20%から60%に一気に上がったのです。

何が起こったのかと思いましたが、何も起こっていません。

一番は、本人の気持ちの変化です。

新卒女性
新卒女性

今まではどうしても『アポをとらないと』という気持ちでビクビクしながら接客をしていましたが、今では設計として、お客様の家づくりを素直に考えるようになったんです

そうしたら、お客様が次回も来てくれるようになりました

余裕を持った接客の方がいいということはわかりますが、当時の僕からすると衝撃的でした。

僕自身は、『数字は人格・予算未達は死を意味するよ』という危機感によって育てられてきたし、それによって確かに実績もあげていたので。

数字は包丁と同じように、闇雲に使えばいいというものではなく、活用する場を考えなければならないということを痛感しました。

数字目標を設定することの意味

そもそも、数字目標を設定する意味は何でしょうか?

数字目標の根拠とは何でしょうか?

以外と明確に数字の根拠を答えられる方は少ないかもしれません。

会社の場合、目的は明確です。理念を実現するために必要な利益を出すためです。

それ以外にも、

  • 目標設定したほうが達成に向かって試行錯誤ができる
  • 達成率を見ることで振り返りがしやすくなる
  • PDCAを効率的に回せるようになる
  • 目標がないよりも達成感を感じることができる

といった細かい意味はありますが、当たり前のことなので一旦置いておきます。

利益を出すための数字をさらに細分化していくことで、個人目標とかKPIの設定が行われることになります。

なので、うまく使うと結構便利なツールです。

決して、社長や上司がマウントを取るためのツールではないということです。

数字を使えば、簡単にマウントを取ることができます。

そもそも、危機感を強要すること自体がナンセンスで、自分と同じ立場にない人間に自分と同じ危機感を感じてもらうことを期待すること自体がストレス要因となります。

各数字の目標設定は、途中通過点を明確にすることで、最終利益を出すために行うことです。

そのことを伝えて、即座に目標達成の重要性に気づき、モチベーション高く目標に向かって行動を起こせる人は限られた超優秀な人材です。

数字目標の設定で重要なポイント

上記のケースを踏まえると、目標の設定には重要なポイントがありそうです。

本人の特性に合わせて目標数値の重要性に強弱をつける:多様性に対応する

例えば、今回の女性に関しては、目標設定を外した結果大きな成果を出すことができました。

しかし、これは結構すごいことだと思います。

目標を設定しないと、言い訳が多くなったり、サボったりしそうなのに、そうすることなく純粋にお客様の家づくりに役立とうとする気持ちが結果に現れました。

このように、自由な気持ちで仕事をしてもらった方が成果を出せる人がいるということです。

ある人にとって目標は仕事をサボらない、頑張るための原動力になり、ある人にとっての目標は自分の能力をうまく発揮できない蓋として機能するのです

これは、管理職や社長が判断して、日々の目標に対する進捗確認の時に数字の話を中心にして詰めるのか、そうではないアプローチをするのかを変える必要があるということです。

結構難しいことですが、今までの価値観だけでは到底及ばないくらい多様な価値観を持った方がいるので、この、多様性への適応は今後の組織運営で必要になってきます。

A工務店の社長も、今までの価値観の中だけで判断をしていたら、多分その女性をクビにしていたと思います。

しかし、この社長は素晴らしい人格者で、本人の可能性を信じて自分の価値観を変え、見事に本人の能力を開花させたのです。

まとめ:数字は慎重に扱うべきだが便利なツール

今回の話は、多様性に対応して数字を使っていきましょうという話です。

決して、目標設定をやめましょうと行っているわけではありません。

ワキログ
ワキログ

僕は、最初から目標がなければサボっていた自信があります。

人間、どうしてもラクな方に向いてしまいますからね。

時代は多様化の時代になってきて、そこについていけない会社は人が入らない、残らない会社となり危機を迎えます。

僕自身、数字は絶対的なものだと思い固執した結果、成果を出したり精神疾患を患ったり、本当に使い方が重要なツールだと感じています。

数字の使い方は、一筋縄で語れるようなものではなく、各個人や会社に合わせて使い方のカスタマイズをすることが重要となってきました。

このブログ内でも、各企業に合わせた利益向上やマネジメントの最適解を追求してきたいと思っています。

今回は5200字ほどの長い文章になってしまいました。

ここまでお付き合いいただきありがとうございます。

次回の記事でまたお会いしましょう。

ではまた。

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