結婚式場から学ぶ営業の本質
僕は京都で結婚式を挙げたのですが、何の情報もないところから会場選びを始めました。
最終的には1つの会場に絞り込まなければならないのですが、全部で5つの会場に話を聞きに行きました。
決めた1会場は、本当に提案がうまく、一回説明を聞いた時点で『この会場であれば理想の結婚式ができそう』と思いました。
その営業手法の中に、営業の本質が含まれていたので今回は、実際に経験した結婚式場の提案を参考に営業の本質について考えていきたいと思います。
具体的なトークを事例にしていくので、営業をしている方ならどなたでも参考にしていただける内容になっています。
ではいきましょう!
まず、僕たちが結婚式会場に求めていた前提を整理します
僕たちの結婚式会場の求めるものは少し特殊でしたが、下記のような要望がありました
- 家族のみを呼んだプライベートな式にしたい
- 妻の親が海外の方のため、せっかくなら日本を楽しんでもらいたい
- 僕の両親は北海道と東京に住んでおり、どうせ移動してもらうなら観光もできる場所にしたい
- 各地から家族が集まるため、宿泊できる会場がいい
- 家族の中には足腰が弱い方もいるので、なるべく移動はしたくない
ということで、会場選びの条件は下記のようにまとまりました。
- 海外の方に日本らしさを楽しんでもらうために、会場は京都にする(国内の地方から来ても観光を楽しむことができる)
- 日本の文化を楽しめる和風の会場にする
- 宿泊もセットでおさえられる会場にする
- なるべく足腰の弱い人でも移動がラクな会場にする
ゼクシィカウンターで紹介された5つの式会場
条件は決まったものの、実際どうやって探せばいいかわらず、とりあえず大阪のゼクシィカウンターに相談に行きました。
そこで、上記の条件を伝えると、5つの式会場を紹介されました。
各会場にカウンター経由でアポを取ってもらい、京都観光も兼ねて2日間で5つの会場を回ることにしました。
1日目に3会場、2日目に2会場を回る計画です。
結局決めなかった4会場に共通する説明の流れ
1.着いたらすぐ式会場の説明
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2.お食事会場の説明(披露宴)
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3.宿泊施設の説明
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4.よかったらまた詳しく説明しますと、最後の挨拶
どの会場もすごく良い会場だったのですが、『なんとなく、ピンとこない』という印象でした。
最終的に決めた会場の説明の流れ
まず、他の会場までは自分たちでタクシーで移動していたのですが、こちらの会場だけは最寄駅での集合で、車で迎えに来てくれました。そこからの流れはこんな感じです。
1.車の中での会話
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2.到着したら、ゲスト(式の参加者)の待合席の説明
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3.式の会場の説明(屋外)
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4.食事会場の説明
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5.控え室の一角で参加人数や宿泊人数、写真撮影等の要望のヒアリング
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6.ヒアリングを元にした見積書の概要を提示
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7.結婚式までの流れの説明と、これから決めていくことをまとめたファイルのお渡し
それぞれの流れの中で重要なポイントがあったので。1つずつ見てきたいと思います。
1.車の中での会話
車の中でこのようなことを聞かれました。
『今日は大阪からお越しなんですよね?わざわざありがとうございます。
大阪にお住まいなのに、京都で式を挙げたいと思う理由は何かあるんですか?』
これ、超大切なヒアリングです、なぜ、わざわざ京都で式会場を探しているのか?
この理由がわからなければ本質的な提案ができません。そこで、僕の両親が北海道に住んでいること、妻の親が海外に住んでいること、そして、せっかく招待するなら日本の文化を楽しんだり観光もしやすい場所がいいということを伝えました。
そして、次にこんなことを聞かれました。
『式の日取りとしてはいつ頃が希望ですか?』
そこで、家族は仕事をしている人も多く、移動や観光もしやすいように連休の中日にしたいということを説明しました。さらに、足腰が悪くて体力が少ない方もいるので、宿泊もラクにできるようにしたいということも伝えました。
よくよく考えてみると、結婚式の日は2人にとって重要な日でもあるので、絶対に外せない条件としている場合もあります。
もし、その日程で会場が埋まっていれば、そもそもそこで式を開くことすらできなくなってしまうので、この日程の確認は非常に重要です。
今回、僕らは特に日付にこだわりはなく、全員が参加しやすい連休の中日であれば問題ないということも伝えていました。
2.到着したら、ゲスト(式の参加者)の待合席の説明
待合席の説明をされたのは、この会場のみでした。
とても雰囲気のいい場所だったのですが、それ以上に説明の内容が印象的でした。
『和風の式の場合、待合席が和室のことも多いんですけど、結構外国の方は靴を脱ぐ文化がないので面倒なんですよね。なので、こうやって土足のままラクに座れるテーブルを用意してるんですよ』
『あと、床に座るのって足腰が弱い方にとっても意外と負担になるので、椅子に座ってもらった方が負担なく待ってもらえますよ。』
正直ここまでの配慮があるとは驚きでした。
僕と妻も最初の時点で『え、めっちゃいいやん』という反応です。
さらに、聞いてもいないトイレの説明をされました。
『これって意外と盲点なんですけど、和風の会場って、歴史が長くその分雰囲気を存分に楽しんでもらえるんですけど、意外とトイレが汚いとか、使いにくいとかがあるので、トイレだけはリノベーションしちゃってます。』
確かに、他の会場で借りたトイレはしっかり清掃はしてあるものの、少し古く便器が低くて使いにくい、というストレスもありました。
こちらの会場のトイレは、超清潔、そして最新、そして綿棒やマウスウォッシュなどのアメニティも充実していました。
3.式の会場の説明(屋外)
式の会場は、広々とした中庭でした。
周りには木々が生えていて、地面はしっかり整備されていて歩きやすいようになっています。
そこで、このような説明をされました。
『外での式ってめちゃめちゃ開放的で素敵ですよ。ただ、雨が降ってしまうと台無しになってしまうので、僕が頑張っててるてる坊主いっぱい作ります。でも、本当に雨が降ってしまった場合はみなさんが座る部分には大きなドームを作るので、全く問題ないですよ。』
と言って、実際にドームを使ってる写真を見せてくれました。
確かに、ドームがない時よりも見栄えば劣りますが、それでも素敵な光景でした。
4.食事会場の説明
こちらも会場からの景色なんかの説明されましたが、普通の説明に加えて下記のような説明がありました。
『せっかく京都で食事をしてもらうので、食事にこだわるのはもちろんなんですけど、箸にもこだわっています。京都らしい模様と、少し普通の箸よりは細くて上品なものを使ってます。』
実際に持ってみると、確かにイキな箸でした。
いいね〜なんて妻と話していると、もう一言
『この箸は、このケースと一緒に参加していただいた方全員にプレゼントしていますよ。』
え!?まじ?
なんという心配りでしょう。
これは、僕らももちろんですが、参加してもらった家族にも喜んでもらえそうです。
さらに、会場の入り口に置いてあった180cmくらいあるタンスのようなものを開けて説明を始めました。
『これ、巨大なオルゴールなんですよ。中には円盤が入っていて、曲目はこれだけあります。人気なのはこれとこれと〜・・・。音楽って式の雰囲気をすごく盛り上げてくれるんですよ。その中でもこんなに大きい【オルゴールでの生演奏】ってなかなかできる会場がないので、どこかのワンシーンだけでも好きな曲をこのオルゴールを使って流すって方も多いんですよ。』
結局、僕らは披露宴で最も重要な、新郎新婦の入場の際に、このオルゴールで結婚行進曲を流してもらいました。オルゴール特有の音色は、まさに感動でした。
5.控え室の一角で参加人数や宿泊人数、写真撮影等の要望のヒアリング
会場を一通り回って少し疲れた頃に別の部屋で座ってお茶を出してくれました。
話に集中できる環境を用意することはとても重要です。
そこで、このようなことを聞かれました。
『式に参加する人数、お食事をされる人数、宿泊される人数とお部屋ってどれくらい必要そうですか?』
正直、妻の親戚をどこまで呼ぶかが決まっていなかったので、正確な人数がわからないということを伝えました。
『そしたら、可能性のある中で一番多い人数を教えてください!見積もりを出す時は、とにかく可能性のある費用は全部入れておいたほうがいいです。じゃないと、式にお金がかかって新婚旅行の費用を減らすとか、せっかく楽しい思い出のはずなのに後悔することがあるので。』
ということで、その時に考えられた一番多い人数を伝えました。
また、写真撮影の費用や衣装の追加費用も要望を入れるだけ入れてもらいました。
最後に、
『披露宴の時、舞妓さんを呼びますか?せっかく日本らしさや京都らしさを感じてもらうのであれば、すごくおすすめですよ。』
と言われたので、『是非』とお願いしました。
6.ヒアリングを元にした見積書の概要を提示
一通り要望を伝えて、見積書の概要を提示してもらいました。
ここで、初めて結婚式にかかる費用を実感し、現実味が湧いてきました。
『一通り考えられるお金は全部入れてあるので、これがマックスだと思ってください。ただ、逆にここまではかかる可能性があるので、これだけのお金は式のために確保しておいた方がいいです。余ったら、旅行代にプラスするとか、新婚生活に使えますからね。』
実際、僕らが想定していた予算よりも20万円ほど高かったのですが、逆にそれが上限と聞いて安心感もありました。
この時点で、僕ら夫婦の意思はほぼ固まっていました。
7.結婚式までの流れの説明と、これから決めていくことをまとめたファイルのお渡し
ほぼ意思は決まっていたので、聞きたいことはこれからの具体的な動き。
そんなことをなんとなく心の中で思っていると。
『うちを選んでいただくことになれば、次回は申し込み金として10万円いただきます。そのあとの流れは、衣装を決めたり、音楽を決めたり、お花を決めたり、だいたいこれくらいのことを決めていく必要があるので(手元のファイルを見せながら)、ひとつひとつ忘れないように1冊のファイルにまとめておきますね。こちらをお使いください。』
結構決めることがいっぱいあるし、打ち合わせ回数も必要そうだったので、当時休みのない環境でバリバリ働いていた僕からすると不安でした。
会場の説明を受けてる時も、僕の仕事が忙しいということを伝えていました。
すると
『旦那さんは仕事が忙しいと思うので、大阪での打ち合わせも可能ですし、スカイプとかテレビ電話での打ち合わせも全然できますよ』
と、安心させてくれました。
ということで、僕らはこの会場で式を開くことに決めたのです。
ポイントは、ニーズを把握した上で、そのニーズに合わせた提案をしていくこと
他の式会場との違いは、圧倒的にニーズを把握してくれたかどうかです。
単なる会場の説明ではなく、僕らが結婚式に求めることを聞いた上でプラスαの提案をしてくれたことが本当に大きかったです。
そして、提案してくれた担当の方は、さらにニーズを先回りして不安を解消してくれたり、嬉しい提案をしてくれました。
例えば、待合室の椅子の話や、トイレの話、お金の話を先回りして不安を解消してくれたり、お箸のプレゼントや舞妓さんの提案など、プラスの提案をしてくれました。
すべての始まりは、ニーズの把握をすることです。
実は、コンサル出身の凄腕支配人だった
僕自身がコンサルタントであったということもあり、ついつい【営業フロー】なんかは細かく見てしまいます。
ただ、この担当者の方の提案があまりにも見事だったので、いろいろと聞いてみると、コンサルティング会社出身で、今では式会場やホテルの支配人をしている超優秀な方でした。
見た目も話し方も、めちゃめちゃ親近感が湧いて話やすい方ですが、かなり仕事ができます。
それだけ仕事ができる方なので、僕らの結婚式も一生忘れられない素敵な式になりました。
まとめ:営業で最も重要なのはニーズの把握、そしてそれに合わせた提案をすること。逆にニーズを把握せずにお客様を喜ばせたり成果を出すことはできません。
今回は、コンサル出身の凄腕支配人の営業フローを参考にしてみました。
この事例は、結婚式会場ではなく、どの業界、どんな商品を売る時にも必要な内容になっています。
例えば、不動産会社で伸び悩んでいる営業マンがお客様の接客をした後に、
『結局お客様って、なんで家を買おうと思ってますか?』
と聞くと、案外答えられない方もいらっしゃいます。
ニーズを把握せずに、一方的な提案をしてしまっているのです。
営業でもっと成果を出したいと思っている方は、是非、お客様が本当は何を望んでいるのか?を明確に答えられる営業マンになってください。
仕事を楽しく、成長できる場にするために少しでもこの記事をお役に立ていただくと幸いです。
ではまた。
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