
お疲れ様です。ワキログです。
僕は仕事柄、全国のいろいろな会社の社長さんと、1対1でお話しする機会がたくさんあります。
その中で、伸びている会社の社長さんには、ひとつの共通点があると感じています。
それは、「自分の一番の仕事は、意思決定をすることだ」とわかっていることです。
逆に言えば、経営者が決めない会社は、方針も、社員さんの動きも、何もかもがブレていきます。
今回は、社長の仕事の本質である「意思決定」について、僕なりの考えをお話しします。
先に結論をお伝えします。
経営者が決めないと、会社も何もかもブレる。社長の一番の仕事は、作業ではなく「決めること」である。
「そんなの当たり前じゃないか」と思った方もいるかもしれません。
でも、実際の現場を見ていると、社長が一日の大半を「決めること」以外の仕事に使っている会社は、驚くほどたくさんあります。
見積をつくる、現場を回る、資料を整える、細かいトラブルに対応する。
どれも大切な仕事ですが、それに追われているうちに、社長にしかできない「決める仕事」が後回しになってしまうんです。
この記事では、なぜ社長が意思決定に集中すべきなのか、そして決断の質を上げるために何ができるのかを、具体的にお伝えしていきます。
経営者の方はもちろん、これから人の上に立つ方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。
少し長くなりますが、お付き合いください。
経営者が決めないと、会社は何もかもブレる

まずは、よくある会社の風景から考えてみます。

この件、社長に確認しないと進められないんです…でも社長、今日も一日現場に出ていて…

それ、うちの会社でもよくあるよ。社長が一番忙しくて、みんなが社長待ちになってるんだよね。
社長が一番忙しい会社は、たいてい「社長の判断待ち」で仕事が止まっています。
社員さんは、決めてもらわないと動けない。
社長は、目の前の作業に追われて、決める時間がとれない。
その結果、会社のあちこちで「判断待ちの渋滞」が起きてしまうんです。
決めない会社で起きる「ブレ」
判断待ちが続くと、やがて会社のあらゆるところで「ブレ」が起き始めます。
- 方針のブレ:今年は何に力を入れるのかが、人によって違う
- 優先順位のブレ:目の前の仕事に追われ、大事なことが後回しになる
- 判断のブレ:同じような場面でも、担当者によって対応が変わる
- お客様への対応のブレ:誰が担当するかで、提案の質や説明が変わる
- 人のブレ:採用や育成の基準が定まらず、組織の色がぼやけていく
これらはすべて、経営者が「決めていない」ことから生まれるブレです。
社員さんは、決して怠けているわけではありません。
基準がないから、一人ひとりが「自分なりの正解」で動くしかないんです。
その結果、全員が一生懸命なのに、会社としては同じ方向に進めていない。
経営者が決めないと、社員さんの頑張りまでもがバラバラの方向に散ってしまうんです。
会社のブレは、社員のせいではない。経営者が決めていないことの表れである。
社長の仕事を3つに分けてみる
ここで一度、社長の仕事を3つに分けて考えてみてください。
- 作業:見積をつくる、現場を回る、書類を整えるなど、手を動かす仕事
- 管理:社員さんの進み具合を確認する、トラブルに対応するなど、回す仕事
- 決断:会社の方向性や、何に力を入れるかを決める仕事
この中で、社長にしかできないのは「決断」だけです。
作業と管理は、仕組みを整えたり、人に任せたりすることで、少しずつ手放していくことができます。
でも、決断だけは、誰にも代わってもらうことができないんです。
特に、工務店さんのような会社では、社長自身が現場出身であることが多いです。
大工さんとして腕を磨いてきた社長、営業として会社を引っ張ってきた社長。
現場の仕事ができる社長ほど、「自分がやったほうが早い」と、つい作業を抱え込んでしまいがちです。
もちろん、創業したばかりの頃は、社長が何でもやらなければ会社は回りません。
でも、会社が成長してくると、社長が作業を抱えていること自体が、会社の成長の「天井」になってしまいます。
なぜなら、社長の時間は1日24時間しかなく、その時間を作業に使っている限り、会社は社長一人の処理能力を超えて大きくなれないからです。
社長が作業を抱えている限り、会社は社長一人の処理能力を超えられない。

実は僕自身も、ひとりで会社をやっている中で、事務作業に時間をとられて「考える時間」が足りなくなっていたことがあります。そこで、事務作業はオンライン秘書の方にお願いするようにしました。自分にしかできない仕事に時間を集中させるためです。
社長が「決める仕事」に集中すると、会社のスピードは一気に上がります。
判断待ちの渋滞が解消されれば、社員さんは迷わずに動けるようになる。
社長の決断の速さは、そのまま会社全体の仕事の速さになるんです。
しかも、社長がいないと何も決まらない会社は、社長が体調を崩したり、長期の出張に出たりした瞬間に止まってしまいます。
社長が「決めること」に集中し、それ以外を任せられる状態をつくることは、会社を守ることでもあるんです。
意思決定とは、「選ばないもの」を決めること

では、そもそも意思決定とは何でしょうか。
僕は、意思決定の本質は、「何を選ぶか」よりも「何を選ばないか」を決めることにあると考えています。
会社には、やりたいこと、やれそうなことが、いつもたくさんあります。
新しい商品、新しい集客の方法、新しいエリアへの出店、新しい人材の採用。
でも、会社の時間も、お金も、人も、限られています。
すべてを同時にやろうとすると、どれも中途半端になってしまいます。

でも、チャンスがあるなら、全部やってみたほうがよくないですか?

全部やろうとすると、結局どれも本気でやれなくなるんだよね。「やらないこと」を決めるのが一番難しいんだよ。
僕自身の話を少しさせてください。
以前、「5年後の自分はどうなっていたいか」を真剣に考えたことがあります。
そのときに、自分に投げかけた問いのひとつが、「現場の支援と、ブログやYouTubeなどの発信。どちらか一方しか伸ばせないとしたら、どちらを選ぶか」というものでした。
どちらも大切で、どちらも伸ばしたい。
でも、あえて一つを選ぶとしたら、と考えたとき、僕の答えは「顧問先は守る。発信は余力でやる」でした。
そして同時に、資料作成や事務作業といった、僕でなくてもできる仕事は手放していくと決めました。
「何を守り、何を手放すか」を決めたことで、日々の迷いがぐっと減りました。
新しい依頼や誘いがあったときも、「これは自分が守ると決めたものにつながるか」で判断できるようになったからです。
選ばなかったものは、「捨てた」のではなく、「今は手をつけない」と決めただけです。
状況が変われば、また選び直せばいい。
そう考えると、「選ばない」決断も、少し気持ちが楽になります。
意思決定とは、限られた時間とお金と人を、どこに集中させるかを決めること。
「決めない」も、ひとつの決断
もうひとつ、大切なことがあります。
それは、「決めない」ことも、実はひとつの決断だということです。
判断を先送りにしている間も、会社の時間は確実に過ぎていきます。
迷っている間に、競合は動き、お客様の気持ちは変わり、社員さんのモチベーションは下がっていく。
決めないことのコストは、目に見えないだけで、とても大きいんです。
完璧な情報は、いつまでもそろわない
決断を先送りにしてしまう理由の多くは、「まだ情報が足りない」という気持ちです。
でも、経営の判断に必要な情報が完璧にそろうことは、まずありません。
情報を待っているうちに、決断のタイミングを逃してしまう。
だからこそ、ある程度の材料がそろったら、思い切って決める。
そして、動きながら修正していく。
決断のスピードと、修正のスピード。この両方を持っている社長が、一番強いと僕は思います。
決断の質を上げる3つの習慣

とはいえ、ただ早く決めればいいというわけではありません。
大切なのは、「速さ」と「質」を両立させることです。
僕がこれまで多くの社長さんと関わってきた中で、決断の質が高い社長さんに共通していると感じる習慣を、3つにまとめます。
- 判断の「軸」を言葉にしておく
- 数字で、今の状況を正しく見る
- 一人で抱え込まず、「壁打ち」の相手を持つ
①判断の「軸」を言葉にしておく
決断に迷う一番の理由は、判断の「軸」がはっきりしていないことです。
会社として何を大切にするのか、どこを目指しているのか。これが言葉になっていれば、多くの判断は自然と決まります。
例えば、「お客様の暮らしにとって本当にプラスになるか」「10年後も胸を張れる仕事か」といった軸があれば、目先の売上に飛びつくかどうかで迷うことは少なくなります。
軸は、迷ったときに立ち返る「ものさし」なんです。
僕が経営計画書づくりのお手伝いを大切にしているのも、まさにこの理由からです。
経営計画書には、会社の理念や方針、目標が書かれています。
これは、社長の判断の軸を「見える化」したものでもあるんです。
軸が言葉になっていれば、社長がいない場面でも、社員さんが同じ基準で判断できるようになります。
②数字で、今の状況を正しく見る
感覚だけで判断していると、どうしても「なんとなく」の決断になってしまいます。
僕は支援している会社さんと、集客数、契約数、アポ率といった数字を、毎月一緒に確認しています。
数字を見れば、「今、どこで止まっているのか」「どこに手を打つべきか」がはっきりします。
数字は、社長の直感を否定するものではありません。
直感を確かめ、より確かな決断にするための材料なんです。
特に、「売上」のような最終的な数字だけでなく、その手前の数字まで見ることが大切です。
問い合わせは増えているのか、アポにつながっているのか、契約まで進んでいるのか。
どこで流れが止まっているのかがわかれば、社長が決めるべき「次の一手」もはっきりします。
③一人で抱え込まず、「壁打ち」の相手を持つ
社長は、会社の中で一番孤独な立場です。
最終的な決断は、社長が一人で引き受けなければいけません。
だからこそ、決める前に、考えを整理するための「壁打ち」の相手がいることが大切です。
僕が顧問先を訪問するときも、最初に社長さんと1対1でお話しする時間をとるようにしています。
そこで僕が答えを出すことはありません。答えを出すのは、あくまで社長です。
僕の役割は、社長の頭の中にある考えを一緒に整理して、社長が自信を持って決断できるように後押しすることです。
話しているうちに、社長自身が「そうか、本当に決めるべきことはこれだったのか」と気付く瞬間があります。
決断の質は、決める前にどれだけ考えを整理できたかで決まるんです。
壁打ちの相手は、外部の専門家でも、信頼できる幹部の方でも構いません。
大切なのは、社長が本音で話せて、考えを口に出して整理できる相手がいることです。
頭の中だけで考えていると、同じところをぐるぐる回ってしまいがちです。
言葉にして誰かに話すだけで、驚くほど考えがまとまることがあります。
社長の時間を「決めるため」に空ける

決断の質を上げるためには、もうひとつ欠かせないことがあります。
それは、社長が「決めるための時間」を、意識してつくることです。

社長に考える時間をつくってもらうって、具体的にはどうすればいいんでしょう?

社長がやらなくてもいい仕事を、どんどん手放していくことだね。任せることも、社長の大事な仕事なんだよ。
任せるための「線引き」をする
社長の時間を空けるためには、仕事を任せることが欠かせません。
ただ、何でもかんでも任せればいいわけではありません。
大切なのは、「社長が決めること」と「社員さんに任せること」の線引きをはっきりさせることです。
- 会社の方向性や、大きなお金が動く判断は、社長が決める
- 日々の業務の進め方は、担当者に任せる
- 迷ったときに相談するルールを、あらかじめ決めておく
線引きがはっきりしていれば、社員さんは安心して自分で判断できるようになります。
予定表に「決めるための時間」を先に入れる
もうひとつおすすめしたいのが、社長の予定表に「考える時間」「決める時間」を、ほかの予定より先に入れてしまうことです。
空いた時間に考えようとしても、社長の予定はすぐに別の用事で埋まってしまいます。
週に一度でもいいので、誰にも邪魔されずに会社の未来について考える時間を、あらかじめ確保しておく。
この小さな習慣が、決断の質を大きく変えていきます。
そして、社長は本当に大事な判断に集中できるようになります。
決めたことを「全員に伝える」
社長が決めたことは、会社全体に伝わって初めて意味を持ちます。
どれだけ良い決断でも、社員さんに伝わっていなければ、会社は動きません。
僕がお手伝いしている会社さんの中には、毎年「経営計画発表会」を開いて、社長が今年の方針を社員さん全員の前で発表している会社もあります。
社長の決断が、社員さん一人ひとりの「今年の約束」に変わっていく。
伝えるときは、「何を決めたか」だけでなく、「なぜそう決めたのか」まで伝えることが大切です。
理由がわかれば、社員さんは自分の仕事に置き換えて考えられるようになります。
その場に立ち会うたびに、決めることと伝えることは、セットなのだと感じます。

社長の決断は、会社の未来を決める一番大きな仕事です。だからこそ、その仕事のための時間は、他のどんな予定よりも先に確保してほしいと思っています。
今日からできるセルフチェック
- この1週間で、自分が「決めた」ことはいくつあるか
- 社長にしかできない仕事と、任せられる仕事を分けられているか
- 判断の「軸」は、社員さんにも伝わる言葉になっているか
ひとつでも答えに詰まったら、まずは今抱えている作業を書き出して、「手放せるもの」を探すところから始めてみてください。
まとめ:決めることから、逃げない

今回お伝えしたかったことは、この2つです。
- 経営者が決めないと、会社も何もかもブレる。社長の一番の仕事は「意思決定」である
- 決断の質は、「軸」「数字」「壁打ち」と、決めるための時間で高められる
決めることは、怖いことです。
決めた瞬間から、その結果の責任を引き受けることになるからです。
でも、社長が決めることから逃げてしまうと、会社は前に進めません。
それどころか、方針も、優先順位も、社員さんの判断も、少しずつブレていってしまいます。
社員さんは、社長の決断を待っています。
そして、社長が決めた方向に向かって、全力で走りたいと思っています。
社長が決めることで、社員さんは安心して走り出せる。
迷いのない決断は、それだけで会社に大きな推進力を生みます。

最後に、ひとつだけ。
すべての決断が正解になることはありません。
でも、決めて、動いて、うまくいかなければ修正する。その繰り返しの中でしか、会社は成長していきません。
迷ったときは、「自分は何を守り、何を手放すのか」を問いかけてみてください。
その答えが、きっと次の一歩を教えてくれます。
僕も「大きな脇役」として、社長の皆さんが自信を持って決断できるよう、これからも全力で支えていきます。
ワキログでした!


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