会社で働いている以上、会社の目標というものがあります。
しかし、その【達成率】については、社長と社員が見ているポイントがまったく違うため、最終的にズレが生じてきます。
その結果、
社長は『あいつらはまったくわかってない』
社員は『社長は厳しすぎる』
と双方の不満がたまっていきます。
それは、見ているポイントがまったく違うために生じるものなのですが、現場で働いているとなかなかお互いに理解が及びません。
今回は、僕が実際にコンサルティングをしてきた中で感じていた、社長と社員が見ているポイントのズレについて考えていきたいと思います。
では、いってみましょう!
この記事を読んでもらいたい人
前提としてこの記事は、社長と社員さんの両方に読んでいただきたい内容になっています。
その中でも特に下記のような方です。
このような意識の違いは、雇う側と雇われる側で生じてしまうのはどうしてもしょうがないことです。
その要因としては、事業に対する気持ちの部分も大きいのですが、それについては今回の記事では触れず、見ている数字の違いに着目して考えていきます。
結論:社長が見ているのは【利益】、社員が見ているのは【販売数】
ここにあります。
社長が見ているのは、会社の実質的な利益なのですが、社員が見ているのは『何個売ったか?』という数です。
これは、社員さんにとっての目標設定がおおくの場合、【数量】や【件数】で設定されるためです。
なぜ、利益目標ではなく数にするのかというと、シンプルに社員さんにとってはその方がわかりやすいからです。
車屋さんの例で行くと、『1,500万円の利益をあげなさい』と言われるより、『100台売りなさい』と言われた方がピンときますよね。
『100台売りなさい』と言ったのは社長なので、当然社員さんとしては、100台売ればいいと思いますよね。
しかし、社長が見ている数字は実際100台という数字ではなく、1,500万円という数字です。
ぶっちゃけ、社長は1,500万円の利益に届いていれば100台売る必要はないと思っています。逆に100台売っても1,500万円の利益が出なければ未達成です。
ちょっと複雑かもしれませんが、図で見てみましょう。
このように、社長が見ているのは面積(利益)の部分で、社員さんが見ているのが横軸(販売数量)の部分です。
社員としては90点、社長としては80点。点数に違いが出てしまう理由
上記のように、そもそも、社長と社員とでは見ている視点が違うため、それぞれが認識する達成率にもズレが発生します。
すごくざっくりですが、下記のような前提で数字を入れてみましょう。
- 固定費:1,500万円
- 変動費:70万円(1台販売するのにかかる費用)
- 販売単価:100万円(1台あたりの売上)
- 損益分岐点:50台(売上は5,000万円)
- 目標利益:1,500万円
- 目標売上:10,000万円(台数は100台)
という条件です。
この時、実績販売数が90台だった場合は下の図のようになります。
超ざっくりですが、社員さんとしての達成率は90%、社長としての達成率は80%となります。
1つあたりの利益率や固定費にもよってこの数字は大きく変わってきます。
場合によっては、社員さんとしては95%の達成なのに、社長としては60%なんてこともあります。
見ている数字が違うだけで、こんなにも達成率の認識に差が出てしまうのですね。
そもそもスタート地点が違う
社員さんが求める販売数量は、0からのスタートです。
1台売れば達成率は1%上がり、50台売れば達成率は50%になります。
しかし、社長が見ている【利益】という数字はマイナスからのスタートです
そもそも、上記の例の場合は50台が損益分岐点になっているので、50台売れてやっと達成率が0%になります。
もう一度言います、
50台売れてやっと達成率0%です。それまでは、マイナスです。
そりゃ当然危機感がかわってきますよね。
実績ゼロであれば、ゼロのままの社員と、実績ゼロであればマイナスの社長と、違って当然です。
値引きで受けるダメージもまったく違う
販売数量を目標にしている社員にとっては、『値引きしてでも数を増やす!』という思いが芽生えて当然です。
しかし、社長からすると値引きというのは、直接利益額を減らすことになるので、絶対やって欲しくないのです。
値引きをして売った場合、社員さんとしては純粋に販売台数実績をプラスできますが、社長としては利益にならないのです。
値引きをして売った1台にかかる人件費や広告費を出しているのは社長です。
社員はわからなくて当然
ここまで色々、つらつらと書いてきましたが、結論社員さんは社長の気持ちがわからなくて当然です。
だって、社員は社長ではないし、社長が社員に何も伝えていないから!
結局、社長が社員にきちんと伝えているかどうかです。
何も伝えられずにこの構造を理解しているのは、社長経験のある方や、相当優秀な方です。
そして、伝えられたところで実感がわかないので、あまりピンときません。
当然です。社員は経営者ではありません。
逆に、社長は雇われているわけではないので社員の気持ちはわかりません。
いくら『自分たちは90台も頑張って売ったんですよ!』と主張しても、無駄です。
でも、やっぱり理解してほしいという方への解決策
上記でちょっと諦めムードになっていますが、解決する方法はあります。
それは、幹部をまきこむということです。
社員全員に理解してもらうのは難しいです。
でも、社長直下の3人くらいであれば理解してもらうことは可能です。
週に1度程度、社長の想いと会社の構造を伝えましょう。
難しいことは言わなくてOK です。
上記のような、社長と社員の認識の違いを簡単に説明して、幹部の意見を聞きならが組織を作っていくのです。
逆に、経営幹部になったり、会社のマネージャー職に上がっていこうとする社員の方は、このことを理解した上で、うまく社長と社員の間に入っていくことが重要です。
僕は、多くの会社でこのような認識の違いで苦しむ社長と社員を見てきました。
本当は、お互いに嫌いなわけじゃないのに、なぜか認識に違いがあるせいでお互いに居心地が悪くなってしまうのです。
多くの社長は素晴らしい理念のもと経営を行っています。
そして、多くの社員は自分の能力を会社のためにしっかり使っています。
だからこそ、このような認識の違いでギクシャクする関係が非常にもどかしかったのです。
答えは、シンプルに社長の想いをまずは幹部に伝えていく場を作ることです。
比較的うまくいったのは、週に1度、30分〜1時間程度の時間を作ることです。
少なすぎても、多すぎてもよくないし、形がい化してその集まりに目的を見失ってもよくないです。
双方が歩み寄って、社会に貢献し、社長と社員がイキイキと自分らしく、楽しく働く環境にするためにも、この記事を少しでもお役に立てていただくと幸いです。
ではまた。
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