営業として働く人が一度は聞いたことのあるこの言葉、『お客様のことを好きになれ!』
先輩や上司から聞いたり、営業本で読んだりしたことがあるかと思います。
そんなことを言っても、実際お客様に興味を持ったり好きになったりするのって難しい・・・。
本当に意味あんの?
と思ってしまうことも多々あります。
私自身もコンサルタントで多くのクライアントさんからお仕事をいただいたり、営業マン向けの研修を行ってきた中で感じる事実をお伝えしていきます。
この記事を通して【お客様を好きになる】の本質的な意味を考えていきたいと思います。
ではいってみましょう!
結論:お客様を好きになることは営業にとっての最強スキル
僕自身、お客様を本気で好きになってから一気に実績を上げることができました。
※恋をするのではなく、”この人のためなら頑張れる”っていう意味での好きです。
【お客様を好きになる】のメリットは下記の3つです。
- お客様に興味が湧く分、ヒアリング力が増す
- 本気で役に立ちたいと思い行動を起こす結果、誠意が伝わる
- 一番のメリット、仕事が楽しくなる
1.お客様に興味が湧く分、ヒアリング力が増す
営業は提案する力よりも聞く力の方が大切と言われるほどヒアリングの能力が重要です。
そこで、純粋にお客様に興味を持つようになると
なんでこの人はこういうことを望むんだろう?
と思うようになります。
例えば、以前の記事にも掲載しておりますが、結婚式会場を探している新婚さんに
『京都で式会場を探しています』
と言われた場合、お客様の言葉を単に聞くだけの営業マンは、
『そうなんですね、では京都で探していきましょう』
と返答し、会場を探し始めます。
ただ、お客様に対する興味を強く持っている場合は
『わかりました、では京都で探していきましょう!何か、京都に対する思い入れがあるんですか?』
といったヒアリングをしていきます。
そして、その回答の中にこそ、お客様の本当のニーズが含まれているので、非常に重要な質問なのですが、本当に興味のないお客様に対しては、結構ヒアリングが抜けたりします。
参考記事はこちらです。お時間のあるときに是非お読みいただけると幸いです⬇️
2.本気で役に立ちたいと思い行動を起こす結果、誠意が伝わる
恋愛でも、本当に好きな人のためには行動力が上がります。
誕生日に手の込んだプレゼントを用意したり、好きな人の趣味を一緒にやってみたり。
営業でも、本気で【この人のために頑張りたい】と思える様なお客様の場合は、お客様の本当のニーズになんとか答えようと行動をするし、その誠意はお客様に伝わります。
例えば、不動産の営業であれば、夕方お客様から『この土地をどうしても抑えたいんです!』と連絡をいただいた場合、
すぐに現地確認をしてお客様に状況を伝えて、買い付け申し込みを出す準備を進めれば、本当にその土地を抑えるということ以外に
『この人はこんなことまでしてくれるんだ!』と必ず誠意が伝わります。
たとえ、その土地が流れてしまっても、その誠意は伝わっているので、お客様からの信頼を確実に上げることができます。
3.一番のメリット、仕事が楽しくなる
ぶっちゃけ、上記のヒアリングと誠意が伝わる行動に関しては、テクニックを身につければどうにでもなります。
しかし、テクニックだけで乗り切ろうとすると、よっぽどの精神力を持ってないと、病みます。
最初のうちはテクニックだけで乗り切っていくのも良いのですが、それを何年も続けていくのは正直しんどいです。
テクニックに頼らず、自分の感情に素直になった結果、ヒアリングもするし、お客様のためになる行動をしているという状態が一番ストレスのない状態になります。
その、ストレスからの解放が、【お客様を好きになること】の一番のメリットです。
この状態になると、ヒアリングでこんなことを聞いた方が良い!とか、お客様の信頼を獲得するためにこんな行動をした方が良い!と考えることなく
え、普通にこれ聞いた方が良いじゃん、普通にこれやった方が良いじゃん
と、思うようになります。
この、『え、普通にやった方がよくない?』というレベルになると、営業活動のストレスが思い切り減ります。
ただ、【お客様を好きになる】には注意が必要
【お客様を好きになることは最強スキル】とか言いつつ、注意点が4つほどあります
- そもそも【お客様を好きなる】状態までなかなかいけない
- 自分の体調を壊す可能性がある
- トップ営業であり続けることは難しい
- 会社員に向かない
1.そもそも【お客様を好きななる】状態までなかなかかいけない
『お客様のことを好きになれ』って言われるけど、好きになれないし!
と思われる方は結構多いと思います。
僕もそう思ってました。
上司に『普通気になるやろ?』って言われても、気にならないし・・・。というふうに感じてました。
実際、【お客様のことを好きになれない】のではなく、【好きになれるお客様に出会えていない】だけのことが多いです。
いろいろなお客様がいらっしゃるので、趣味が全く合わないお客様とか、自分の話を全く聞いてくれないお客様もいらっしゃいます。
そんな中、自分が本当に好きになれるお客様、言い換えると応援したいと思えるお客様に出会うことは結構奇跡に近いです。
学校でも本当に気の合う親友はせいぜい数人であるように、なかなか出会えないものです。
なので、ある程度の数をこなしていかないと【お客様のことを好きになる】という感覚は味わえないと割り切り、それまで量をこなす方が良いです。
2.自分の体調を壊す可能性がある
上記のように量をこなしていき、気の合うお客様や本当に応援したいと思うお客様と出会ったとします。
数人のうちは良いのですが、良い縁があり複数人になってきても、自分の身体はひとつしかないので、全員に全力投球はできなくなってきます。
その中で頑張ろうと無理をしてしまうと、自分の体力が追いつかずに体調を崩すこともあります。
一度体調を崩すとそれだけでかなりパフォーマンスが低下するので、仕事を効率化しつつ量を調整してく必要があります。
3.トップ営業であり続けることは難しい
何度か本気で応援したいと思えるお客様と仕事をしていくと、仕事が本当に楽しくなる反面、【好きじゃないお客様】に対して力が入ってこなくなります。
人間は楽しいことやラクなことに慣れていくので、逆に楽しくないお客様との仕事を、やりたがらなくなります。
お客様のことを好きなるのこと自体はとてもいいことなのですが、好きなお客様からだけ仕事を取っていてはトップであり続けることはできません。
自分のお気に入りのお客様には本当に親身になることで契約をいただくことはできるのですが、そうでないお客様には本当に力が入らず、実績はある程度のところで頭打ちになります。
これが、お客様を好きになるということの最大の弊害でしょう。
数字を上げるには、ある程度数字に貪欲(どんよく)になる必要があります。
お客様のためとかではなく、いかにお金を稼ぐかを考えた方が大きな実績を上げることができる
実際、会社でトップの成績をあげる人というのは、常に数字のことを考えて貪欲に実績を積み上げていくケースが多いです。
対して、本当にお客様のことが好きで仕事をしている人は、一時的に1番になることはあっても、結局2番目とか3番目の実績に止まっていることが多かったりします。
それでも、それなりに実績は出していけるので、1番にこだわらなけれそれもそれでありだと思います。
4.会社員に向かない
これは、正直会社によります。
ただ、営業職の場合は基本的に会社からのノルマ(必達目標)を与えられます。
たとえ、会社にとってはプラスの貢献をしていたとしても毎年ノルマは上がっていきます。
そうすると、本気で応援したいと思うお客様以外も無理やり契約していかないといけないし、時には本気で応援したいと思うお客様に売りたくもないものを売りつけることが課せられます。
そんなの嫌だ!好きなお客様だけと取引をして充分に成果を出しているんだから良いじゃないか!
と思ってしまうこともありますが、これは完全にわがままです。
会社に勤めている以上は、基本的には会社からのノルマは達成していかなければなりません。
たとえ、会社に1億円の利益をもたらしていたとしても、会社から『2億円の利益を生み出しなさい』と言われれば、2億円の利益を出す必要があります。
もし、自分が好きなお客様と好きな量だけ仕事をしていきたいのであれば、独立して自分でやった方が良いでしょう。
その方が、会社に取っても自分にとっても、そしてお客様にとっても良い仕事ができます。
まずは、本気で応援できるお客様と出会うまでやってみる
先ほども書いたように、【好きだと思えるお客様】に出会えるまでは、結構しんどいですが、営業に関する勉強と練習を繰り返して、成果を残しつつ本気で応援したいと思えるお客様に出会えるまで頑張ってみるという事をおすすめします。
そうすると、そのように思えるお客様が増えて、自分の実績もどんどん上がっていきます。
その時、ある程度【好きなお客様】と【お金の為のお客様】と割り切りながら仕事をしていけたり、会社からのノルマが辛すぎない場合はそのまま楽しく仕事を続ける事はすごく素良い事だと思います。
しかし、良いお客様に出会って、本当に仕事を楽しながら成果を出している中でも、さらに高いノルマを課せられて、どんどん追い込まれて消耗していくようであれば、環境を変えてみるのも手だと思います。
本気で向き合ってきたお客様は、必ず応援してくれます。
営業は本当に多くの出会いと経験ができる仕事なので、かなりやりがいのある仕事です。
一方で、会社の中で売り上げを生み出せるのは基本的に営業だけなので、数字に関してはかなりシビアです。
そして、それなりの実績を出すと『そこまでいけるなら、来年はもっといけるだろ』とノルマが上昇していきます。
会社側のノルマ設定の基準もよく考えなければなりません。
本来、営業は、人生に関わるほどの出会いを得られる素晴らしい仕事だと思っています。
個人の努力不足や会社のノルマ設定によって、その可能性を潰してしまうのはあまりにもったいないと思うので、今回この記事を書かせていただきました。
仕事を楽しく、やりがいのある環境にしていくためにも、今回の記事を少しでもお役に立てていただくと幸いです。
ではまた。
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